透明の地
ヒヤシンス
北欧の地の寒空にカモメが何羽も飛んで行く。
機嫌を損ねた海原に彼女の顔を重ね見る。
愛は飛んで行った。
この悲しみはなんだ。
共に過ごした年月に期限などないと思っていた。
ただ一人安らぎを求めやってきた。
針葉樹を抜けると胸を打つのはフィヨルドだ。
ブルーの世界は殊の外悲しい。
君のことをあきらめたくない。
君は僕の大地。
とめどない涙は君の胸元を静かに流れる。
北欧の厳しい寒さに君の優しさを重ねる。
僕の氷河が静かに溶けてゆく様をごらん。
そう、それはたった昨日の出来事なんだ。