猫とバラ
そらの珊瑚

赤い線が
皮膚の上に浮かび上がる
今朝
バラのとげが作った傷が


わたしのからだの中の
赤いこびとたちが
あたふたと
いっせいに傷をめざして
走っていることだろう

猫を飼っていたころもまた
そんな傷をこしらえては
夜、風呂の中で
しみて痛かったけれど
もうあとかたもない
あの傷も
あの猫も
薄いくもり硝子をふるわせていった
あの風も
明日の宿題も

決して致命傷にはならない
消えていくだけの傷だから
わたしの日々は
安心して
やさしいものたちに傷つけられている



自由詩 猫とバラ Copyright そらの珊瑚 2018-09-19 10:14:44縦
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