白い洗面器
仁与


君がまた
髪を風になびかせていたから

僕は
君の手首をつかみ

あの部屋で
僕らは
洗面器に温かいお湯を張り
冷たくなった両手をつけ

運命とか
赤い糸とか
石鹸で
何度も洗い流し

救済と云う文字を
浮かべるんだ

君の手が
僕の手が
重なり合い

ふたりで
ふたりで
おもいっきり泣くんだ

西日しか当たらない
この部屋で

全ての想い出を
破壊しながら

君がまた
髪を風になびかせた
その時に…

……

2017 . 1. 4 アメブロにて記載


















自由詩 白い洗面器 Copyright 仁与 2018-09-19 00:20:10
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