光の欠片
服部 剛

三日前、一度だけ会った新聞記者が
病で世を去った
一年前、後輩の記者も
突然倒れて世を去っていた
彼の妻とは友達で
今朝、上野の珈琲店にいた僕は
スマートフォンでメッセージを、送信した

僕等がもし
地上に残された者達の一人なら
今日の舞台に立ち
何を語ろう

不忍池しのばずのいけの無数の蓮の葉群から、運ばれて
僕の頬を過ぎる
秋の夜風よ
教えておくれ
日々は消化試合じゃないと

だから僕はいくつもの場面を、集める
あんな場面
こんな場面
腐っちまった僕の場面
淡い日向ひなたの母と子供の風景を
集め、飲みこみ、吐いて、吸って

そうして日々の仲間の
リアルな顔はあらわれて
あなたの瞳の裏側の
光の欠片かけら
一瞬、視えた  







自由詩 光の欠片 Copyright 服部 剛 2018-09-18 17:54:57縦
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