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狩心

一度発射したら 満足するんでしょ
身体の1%だけ 心の0.001%だけ

欲望に突き動かされて また
発射してしまうんでしょ

何回繰り返せば終わるのか
終わりなんかないから
死が強制的に終わらせてくれるんでしょ

死が来なくなった世界では
自分で終わりを決めて死ぬ
納得した時に さぁ終ろうと
成れるの?

であれば現代の
死が来る世界でも
自分が終わりたい時に死ぬ行為は
なぜいけないことなんですか?
生きることが無条件に善だなんて
現実逃避も甚だしい

何を思うか、何をするかでしかないから
すべての価値を決めるのは自分次第だから
世界がどうであれ、宇宙がどうであれ
私の事は私が決める

いつも荒野を歩いている気分だ
沢山のテントが立ち並んでいて
休むことはできるけど
テントから一度出れば
そこは荒野だ

テントの中で一生暮らして
そこで死ぬ人もいるらしい

私は何もない荒野を歩く
そこには何もないとみんな言うけれど
私には分かっている
ここにしかないのだ

この荒野にしかない
私の生きるべき道は
この荒野にしかない

虚無感、絶望と孤独
愛する思い出たち
そのすべてを引き連れていく
覚悟がある

涙は枯れた
でもいつも泣いている
泣きながら歩いている
本当は弱いのに強く成ろうとしている
なぜ?
神への怒りと
命への感謝が
とめどなく交錯するから

身体はもう
太陽の光で焼け爛れている
皮膚は垂れ下がり
あの 原爆の日の亡霊たちが
お前まだ生きるのか?と言う

ごめんなさい
私も何が何だか分からない
でもこの荒野を歩いていくと
何かがあると
信じているの
だから、
祈っていて欲しい
何もない場所を歩いていくこと

途方に暮れるほど歩いたら
蜃気楼が見えてくる
その場所まで辿り着くと
何もなかった事に気付く
蜃気楼がまた見える
それを 気が遠くなるほど繰り返す
オアシスは絶対あると信じる

100万回目にオアシスがあった
それはよく見ると巨大なテントで
みんなが楽しそうにしている都市だった
私はそれをしばらく眺めて
うれしそうに微笑んだ あと
立ち寄らずに過ぎ去る
過ぎ去った思い出たちがよぎって
風の声に耳を傾けて
口の中に混じった
砂利の感覚を覚えて

私は荒野を歩いている
何もなく、誰もいない場所
ここでいつか納得できた時
歩くことをやめる

歩くことをやめる
それは負けたということか
いや違う、
この世界を、この宇宙を
正しく理解できたということだ

私は歩くことをやめる
テントも張らない
この地球を離れようとしている
砂のロケットを作っている
あとはそれを固めるための
大量の涙だけが足りない

だから今
大量の涙を求めて
蜃気楼をまた
渡り歩いている

あなたの涙を少し分けてください
沢山の人たちの人生が私と合流する
袋いっぱいに溜まって
今は荒野を歩いていても
全然寂しくなんかない
その袋の重さが
私の意志の強さとイコールになる

虚無感、絶望と孤独
愛する思い出たち
そのすべてを
宇宙の外側まで引き連れていく
予定!

砂のロケットを置いてきたあの地まで
あと100日

足取りは軽い
風の匂いも
砂利の味も
鋭くて抜群のフルコースだ

アディオス!!
もう出会うことはないだろう
元気でね
おれは未来でも抜群に元気だ!
約束するよ

君を指差したその時に
二人で笑った

寝てる?
いや起きてる
寝てる?
いや起きてる
眠っている?
私はまだ
眠っているのかも、しれない


自由詩 ----- original message ----- Copyright 狩心 2018-09-08 15:22:38
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