ありがとうの代わりに
中山 マキ








いっそ誰かに成りきってしまえば楽なのかな
と思ってBさんに憑依したら
Bさんも割と悩みを抱えていた

人の表面だけでは分からない泥臭さは
内面を泳ぐまでは分からない
だから簡単に羨ましがってはいけない

気付かずとも失っていく日々が
蓄積されている
人生は想像以上に短いだろう
夜に彷徨い歩いても1秒の進み方はみんな同じだから
ただいまをちゃんと言える

年齢を重ねていなくなってしまった
友達という名前のだれかさん
寂しい気持ちが消化された頃に
年賀状の一枚でも出してみようか

大きなことが出来なくても
よかったと思えることを
少しずつ増やしていけるといい
そうすればきっと




自由詩 ありがとうの代わりに Copyright 中山 マキ 2018-08-30 17:44:59
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