夕立が降るかと
期待していた

どうしてかは
分からないけれど
激しい俄雨が
欲しかったみたいだ
天気予報など
気にもしないけれど
雨の匂いが
充満していた
それはきっと
自分の心の中
だったかもしれない

それでも傘は
持たなかった
横殴りの強い雨だと
意味がないから
役立たずの傘ほど
邪魔なものは
ないのだから
ずぶ濡れになった
靴の中の靴下は
気持ち悪いこと
この上ない

強く雨に撃たれると
惨めな気持ちは
救われない
これ以上はないというほど
打ちのめされて
打ちのめされて
上を向くこともできず
ただ打ちのめされて
抗いようもないほど
打ちひしがれて
しぼんでしまいたい
この気持は
救いようも抗いようもなく
ただ打ちのめされて
深淵へと堕ちてゆく

雨は止まない
虹などこの世にあるものか
陽の光など
山の向こうへ消え去った
だからそこでそうやって
倒れた前でおいでよ
誰も救いには来ないから
微動だにせず
血を流したまま
気を失うこともできず
そこでそうしていたまえよ
誰も救いには来ないから