明日に架ける橋〜Sail on Silvergirl〜
クリ

たまたま読み返してみて、自分でとても面白かったので当時の書き込みをほぼそのまま投稿してみます。
僕のサイトの掲示板の、2002年11月の過去ログです。
もえさんは、某中近東の国の元大使館員。ある事件でクビになりました。ネットで6年越しのお付き合いゆえ、本人に無断です。
ごめんちゃい。では。


[575] Siver Girl!? - 投稿者:クリ [地球外] 投稿日:2002/11/19(Tue) 01:29
日曜日、テレビ東京系列で、サイモン&ガーファンクルの『明日に架ける橋』のメーキングみたいな番組を見た。
ロートル(死語だな)としては、あのイントロのピアノを弾いているラリー・ネクテルが出てきたので歓喜!
「イフ」や「愛のわかれみち(Baby I'm A-Want You)」のヒット曲を持つ、BREADというグループのキーボード兼ボーカリストだった。
…という誰も知らない話題は置いておいて。
あまりに有名すぎるこの曲の歌詞は、まず吟味することなく、のほほんと通りすぎてきた。「知ってるも〜ん」と。
しかしだ、字幕で出た次のような訳、僕は思わず(?_?)となった。
  ♪ 船出せよ 銀色の少女
元の歌詞は
  ♪ Sail on silver girl
これは何なんだ? 「銀色の少女」って何だ、誰だ??
漠然と、キリコやAIBOをデザインした日本人デザイナーらが描く、銀色ボディーの女性ロボット、
あるいは自由の女神は想像していた(知ってる? 彼女、コンクリート製じゃないんだぞー、金属製だぞ〜)。
しかしだ。自由の女神は"silver girl"とは言わないらしいし、イラストの女性ロボットが、何の関連がある?
違うはずなのだ。じゃあ"silver girl"って何だ? 調べた。
 分からない。
ひとつの可能性は、"Sail on silver, girl"だ。つまり「少女よ、銀の波間に船出するのだ」
これはある。どこのかのサイトでもそう書かれていた。ただしそこでは「"silver girl"ならば冠詞が必要」と言っていた。
 それは間違いだ。
呼びかけに冠詞はいらない。中学生レベルの指摘。しかし大意の解釈に不自然さはない。
多分「少女よ、銀の波間に船出するのだ」が正しいのだと思う。しかし疑問と不満は残る。
何故「少女」なのか?「少女たち」や「少年」や「君」等ではないのは何故か?
そして"Silver Girl"が耳に残るのは何故か?
しばらく、思いだしては調べると、思う。

補足;
●Silver Girl説  「銀幕の少女/女優」モンローやマンスフィールドら「銀のラメのドレスを纏った女優」もちょっとは頭にあった。
●単独girl説  恋人。最も自然。


[576] そうだねえ〜おもしろいおもしろい。 - 投稿者:もえ [関東] 投稿日:2002/11/19(Tue) 08:44
わたしも検索してみた。
その前に、自分の中では どう思ってたかというと、漠然と”銀色の少女”だし、
じゃー銀髪の少女じゃどうなの、ってこと。

日本じゃないどっかのサイトで、ななめ読みしたんでよくわからんがどうもハーレクインみたいな
ストーリー中に、『君は僕のsilver girlだ。銀色のhaloがあるんだ。』ってのを見た。
これだと、銀の後光とか天使のわっかを持ってる少女、ってことになる。

『銀の波間に船出するのだ』とする日本語のサイトもあったけど、なんだかなあ?
すっと歌詞読んで、そうは思わなかったんだけど。

sail on silver girl, sail on ”by”だよね。こぎ続けて、近づいて来ておくれ、ってこと?
となんとなくおもってたんだけど??

他にもガイジンサイトで、歌詞がなっとくいかんみたいなこと書いてる人もいた。
なんでフランク ロイド ライトがでてきて、建築家が来て...やねん!みたいな。(丹下健三逝く。2005.03.22。大嫌いだけど)
たぶん ポール・サイモンのリリックって自分でも歌詞に書いてる通り、
『韻を踏み損ねてる』のやら韻を踏もうとして意味不明なの、ってあるんじゃないだろうか??


[577] "Silvergirl??" - 投稿者:クリ [地球外] 投稿日:2002/11/19(Tue) 21:51
さて、もえさんもやっぱり、S&G世代、っつーか同い年だから当たり前か。なんか最近、S&Gがちょっとリバイバル。
なんでだろう? 有線では3ヶ月連続で専門チャンネルが設けられているし、数日前にはBSで、
セントラルパークコンサートやってた。あれ、55万人入ったんだってね。後ろの人、聞こえないって(^ ^)。

さて、第2回であります。次回が最終回。

歌詞ですが、信頼できる印刷物に書かれていた3番の出だしはこうです。

  ♪ Sail on silvergirl, sail on by

どうだ? さらに、有無を言わせない証拠、Paul Simonの公式サイトの歌詞。彼のサイトは、なんと太っ腹にも全歌詞を載せていた!

  ♪ Sail on silvergirl,
    Sail on by.

どうだってーの。"sail on silver/ girl"じゃないのよ、"sail on / silvergirl"なんだよ。
つまり一語。「銀色の少女/乙女」が近い。「銀の波間に…」は誤りでした。…とはいえ、「銀色の少女」の謎は解けていない。
ひょっとして…。

彼の別の曲"American Tune"の歌詞の一節を見る。

  ♪ And I dreamed I was flying, and high up above my eyes could clearly see
    The statue of liberty, sailing away to sea, and I dreamed I was flying

ほら、やっぱり自由の女神なのか? さらに、船の舳先には、確か神話の女神のトルソーのような彫刻があるなー。あれなのか?

…ということで、次回完結。果たして謎は解明されるのか?!

補足;
Paul Simon 公式サイトURI
 http://www.paulsimon.com/index_main.html
銀色乙女で思い出すイラストレータ、もう一人いたんだけど、思い出せなかった。やっと思い出したです。
山口はるみ。
あとですねー、僕の詩の中にはPaulが何度か顔を出します。さー、どこでしょう?


[578] Silvergirl!!... - 投稿者:クリ [地球外] 投稿日:2002/11/20(Wed) 02:24
それで、ここに、PLAYBOY誌に掲載されたPaulへのインタビューがある。見つけてきました。1984年2月号。該当部分のみ抜粋。

PLAYBOY: When you wrote Bridge over Troubled Water, did you know immediately that you had written a hit?
SIMON: No, but I did say, "This is very special."
I didn't think it was a hit, because I didn't think they'd play a five-minute song on the radio.
Actually I just wrote it to be two verses done on the piano.
But when we got into the studio, Artie and Roy Halee, who coproduced our records, wanted to add a third verse and drums to make it huge.
Their tendency was to make things bigger and lusher and sweeter. Mine was to keep things more raw.
And that mixture, I think, is what produced a lot of the hits.
It probably would have been a hit with two verses on the piano, but it wouldn't have been the monster hit that it became.
I think a lot of what people were responding to was that soaring melody at the end.
Funny, I'm reminded of the last verse.
It was about Peggy, whom I was living with at the time: "Sail on, silver girl.... / Your time has come to shine"
was half a joke, because she was upset one day when she had found two or three gray hairs on her head.

拙訳
プレイボーイ : 『明日に架ける橋』を作ったときは、すぐに、ヒットする曲を書いたなと実感しましたか?
サイモン : いや。でもこうは言ったよ、「すごく思い入れがある」って。
ヒットするとは思わなかった。だって、5分長の曲がラジオでオンエアされるとは思わなかったし。
最初は、ピアノでやる曲として2番まで書いた。
けれどスタジオ入りしてみると、アートと、レコードの共同プロデュースをしたハリーが、3番も付け足したい、ドラムも入れてもっと壮大にしたい、って言うんだ。
二人の好みは、とにかく大きく、華麗で甘美。僕と言えば何かともっと素朴なのが好み。
でもその折衷が、たくさんのヒットを産んだ、とは思う。
2番までのピアノの歌だったとしてもヒットはしただろうけれど、実際のような化物的なヒットにはならなかったはず。
みんなが反応してくれた部分は思うに、後半の高まっていくあのメロディーだと思うよ。
おかしい話をひとつ。最後の連のことを思い出した。
「海を渡れ、銀の乙女… / 君が輝くときが来た」 これって当時同棲してたペギーのことなんだけど、
これは半ばジョークなんだ。というのは、あるとき頭に2〜3本の白髪を見つけただけで、彼女、大騒ぎしてたのさ。…

ということ。

しかしだ、Paulがそう言ったからとて、"silvergirl"が、「白髪の女性」のこと、とは決まらない。
そうでしょう? だってこれは「詩」だもの。意味は読み手の心の中にある。僕らは、「銀の波間に…」ではないことだけ知っていればいい。
それが詩を解釈することだと思う。Paulがどういう状況のもとで、どんな思いで"silvergirl"と言ったのかは、僕らには関係ない。
些細なことのように感じると思う。今の若者は「白髪の女性」と言ってるのならそれが正解だろ、と決めつけたがる。
そうして「田中さん(ノーベル化学賞を受賞した田中耕一さん。いくつか前の書き込みの言及を踏まえての発言)」のように飛翔することはできない。

間違い解答はあるけれど、唯一の正解というものは、
 ない。


[580] Siva Girl = もえ? - 投稿者:クリ [地球外]投稿日:2002/11/21(Thu) 01:08
どんどん変化(へんげ)してゆくGirlなのだ。「サイバー」から「シバ」へ、そしてついには「サイババ」へ。

自作詩の解説ね。ここではたまにするよね。本当は結構欲求としてある。けれどやってはいけないと考えているんだ。
といってもCROSS-TALKで少し解説してるじゃん、やめたけど。
そうそう、上のPlayboyの同じインタビューで、フランク・ロイド・ライトが誰のことかって、ばらしてたよ。
「なるほど」って思った。
僕もねー、「この詩はねー、こういう意図で書いたのさ」とか「こういう意味なんだ」って言いたいのがたくさんある。
たとえば、どこにもない言語として書かれた『裸の子供たち』 あれ、全部のフレーズに意味があるんだ、ほんとは。
でもそれは言わない。いやいつか言うかもしれないけれど。そのときは「負け」だなー。

いつか、今は休眠状態のCROSS-TALK(拙サイトのもひとつの死にBBS)のほうで書いたけど、自分の作品を解説することや、補足すること、余計なタイトルを入れること、
以上は反則だと思うのですよ。タイトルを見て「ああ、そうか」って思うような絵画、写真、落第でしょ。
あと、書かれた背景を知らないと味わえない芸術、古典は別として、やっぱり不完全だ。

ただし、たとえば、カザルスの「鳥の歌」なんか僕は1分も聞いちゃいられないけれど、もしあれが作られた時代背景とかをベンキョーしたら…、
やっぱ聞かないか、だって暗いんだもん、単調だし。短調だし。
それた。
ちょっとだけ知っていると、雰囲気違って聞こえる曲はある。そういう芸術への接し方も、ありかなと思う。

あと意外かも知れないけれど、僕が究極の芸術かもしれないと思ってるのは、「芝居」なんだ。舞台で演じられるあらゆる芸術。
ストリート系でもいい。とにかくちょっと視線をそらすと、他人の頭や、避難口の灯とか、落ちてるゴミとか見えちゃうなかで演じられる「虚構」
いわば、真剣に感情移入しないと味わえないんだけど、嘘と分かっていながら、お芝居と思っていながら、号泣したりする。
あれは共同作業でしょ、俳優と観客の。だから二者の心の中は同じではないとしても、非常に近い。
そういう意味で芝居ってかなり完成度の高い芸術だと思う。もちろん出来不出来は別。方法としての完成度ね。
五官全部使えるし、使おうと思えば。
で、芝居って、その「ステージ」の周辺は関係ない。横っちょを車が通っても、烏が鳴いてても感動できる。
場合によっては次に誰がどんなセリフを言って、どういう演技をするか知っていても、それでも泣く、笑う。
だからこの場合、「背景は目に入らない」 というか、なんの障害にもならない。
だから、背景はどこまでも見ていいし、調べてもいい。けれどそれは作品にはなんの影響も与えることはない。
もし背景を見てがっくりする人がいれば、その人はまだ子供なのだと言い切ってしまおう。
映画やテレビを見て、子供は本気で泣く。大人は嘘ん気で泣く。
嘘ん気でもボロボロ泣ける、これが感受性ということだと思う。

長いのでもうおしまい。


散文(批評随筆小説等) 明日に架ける橋〜Sail on Silvergirl〜 Copyright クリ 2005-03-24 01:06:59
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