エル・ドラド
Giovanni
青いオゾンを突き抜けた
光の束ね満ち満ちた
1月の夏に浸されながら
わたしだけの
エル・ドラド
さがしもとめて
2600mの高地は
車の排気ガスに満ち
アスファルトにこもる熱が
胸をきりきりと刺した
じりじり照る赤道近くの日が
肌を赤黒く焼いた
博物館で見た昔々の黄金も売人がみんな拳銃を隠し持っているというエメラルド市場もダリアのように大振りで優しく美しい女もふくよかな体がモチーフとなった彫刻と絵画もささやかな新年の祝い黄色い花束も誰にも告げず願をかける葡萄の房もココナツジュースと一緒に食べた寿司もトロツキーを毒牙にかけた男のように執念深くスーパーに出回ったバルティカビールの大缶もあれかこれかどれもそれも
みな
わたしの
さがしもとめる
ものではなかった
ないものかないものか
地図から消えた
夢のみやこ
ことばが金剛のように
突き抜けた先に
有り余りすぎて
だからこそ
何ももたない
わたしだけの
エル・ドラド
さがしもとめて