水喰み Ⅱ
木立 悟
夜風の冷たさ
貼り付いた白
夜の鳥
夜の赤子
焼け焦げた径
はためく光
見えないものの
においに触れる手
騒がしい白と黒
尾を啄み合う鳥と鳥
地を迷う白と黒
羽ばたきの失い日の終わり
蜘蛛の庭で
花は水を踏む
光を光に
銀を銀に編む
壁と窓 頬と手
白く混濁した
言葉の源泉
こぼれ落ちるひとりの星
誰も光を急かさない
滴は滴 集まり刺して
無数のしがらみ
重なりを寄せる
早く生まれすぎた羽たちが
水に焦がれて死ぬ未明にも
水と水を追うものの公転は止まず
生きものの胸に水銀の影を落とす