クローズド
田中修子

わたしがおばあちゃんになるまで
あるだろうとなんとなく思ってた
レストランが
「閉店いたしました
長年のご利用をありがとうございました」
さようならのプレートが
汗ばむ夏の風にゆれてた
鼻のまわりの汗 うー

小学生のとき
おとうさんと
あたらしいお店さがしをしていて
みっけたのだった

テーブルの上にいつも
ほんとうのお花が飾られていて
お水はほんのりレモンの味がした
お客さんの声がざわざわして
子どもがさわいでも音楽と混ざり合って
耳に楽しくて
緑に花柄のテーブルクロスはたぶん
ずうっと洗われてつかわれていて
少しずつ色褪せていく様子が
とてもやさしいのだった ということに
いま気づいたのだった

わたしは
おとうさん や おにいちゃん 死んでしまったおかあさんとおばさん
に電話をして
あのお店がなくなったことを
ともに悲しみたいのだけれど
あれからほんとにいろんなことがあって
ありすぎて
戸惑った
まんま


自由詩 クローズド Copyright 田中修子 2018-07-15 16:19:02縦
notebook Home