石版
tonpekep

夕くれに
石版あって

陽炎はところどころで
愛の形を歪めたりする
(それは少しだけ
こころを削る)

(そうして悲しいものだけ
残っていく)
夕くれの
くっきりとした処に落ちてゆく愛の偏在

ひかりの言葉は歌えないから
それはそれで佳いことなのかもしれない
石版に抱き合う
あなたとわたしの刻み

何もない投影に
涙が触れたりする
ときどきに どこかに
呪文

絡み合う声は散らかって
石版のあなたとわたしの刻みに
夕くれは濡れている

そこにだけ愛がはっきりとしている
そこにわたしとあなたは暮らしていて
あなたは呟き
わたしは囁く


自由詩 石版 Copyright tonpekep 2005-03-22 23:22:19
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