質感
ただのみきや

ナナカマドのひび割れた樹皮に触れる
シロツメクサやセイヨウタンポポを撫ぜる
ダンゴムシを摘まみ上げ掌で転がしてみる

変わらないものたちの
質感の 希薄さに
抗う という ささやかな自慰

捲れながら燃えてこぼれ
書物は灰の花びら
所有しながら戻ることのない灰の海原

子どもの頃にすべて得終え
大人になって再びそれを味わいたく
何度となく儀式を繰り返す

立ち上がる幻は
重ねられた複写の果ての影
現実からも奇跡からも認知されない子ども

拾い上げても影
育んでも影
翅のように仕舞いこんだまま鈍い太陽の下

石をひとつ河に放ってみる
眠る蛾に顔を近づけ息を吹きかける
開いた手紙をゆっくりと丁寧に破って往く

変わらないものたちの
質感の 喪失に
濃く エスカレートする 影の舞踏



    
                   《質感:2018年7月7日》









自由詩 質感 Copyright ただのみきや 2018-07-07 18:55:31
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