星の放民
クロヱ


それは風のない 穏やかな間だった
宵や明けかも 滲んでいきそうな短なときに
例えば
「空にあるからこそ 星は星たり得るのか?」
彼らはそんな会話をしていた

あたしは空を探して 星を見上げていた この雲海にて
どこまでも白は伸びる その波は先端が渦を描くよう
形を描いては消え また どこからとなく浮かび上がる海に
足を浸し ゆっくりと彼らの会話を聞いていた

「私は海にて 星を拾ったぞ!」
異端者が出ては 群がり 騒ぎ立て 賛同し対立する
笑い合うもの また 罵るもの そして 怒り出すもの
どうにもこうにも 夜は黒い 例えるならそんな会話ばかり
退屈だ

あたしは大きく叫んだ
そうしたら 星は 瞬く間に 空になった
探しものをしていたことも忘れ ふぅと溜め息
目を瞑り 思い返す
夜には空がないように 星だけがある
明けには星がなくなり 空が映る
至極 当たり前だ 

そんな 当たり前なことの繰り返しなのだ
あたしたちの 人生など


自由詩 星の放民 Copyright クロヱ 2018-07-04 10:56:53
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