花嫁
青星円
家路の途中教会の前を通ったら
華やかな結婚式が行われていた
入り口のゲートは開かれていて
お祝いに来たたくさんの人たちが
花びらを宙に舞わせて新郎新婦が出てくるのを待ってる
庭に出てくるすらりとした長身の新郎
半歩遅れて手を取られ庭への階段を降りてくる新婦
白いヴェールに白いドレス
手には真紅の薔薇のミニブーケ
遠目にも分かる、美しい女性だ
しかし、ぼくには見えている
新婦の頭の白いベールは燃えている
青と赤の混じった炎を放っている
多分彼女も感じ取っているはずだ
彼女と目が合った
「おしあわせに」
聞こえない距離だけどひとこと言って
ぼくはその場を後にした