緊張と弛緩
唐草フウ



ひとりで ずっと待っていた
帰省先で亡くなった男性が住んでいたアパートの
部屋の畳は思っていたよりきれいだったが
乾拭きをして ちょんと座って

ひとりで 届くのを待っていた
荷物がまだ中途半端な部屋で
ひざをかかえて、いつまで待てば来るのか
眠たくなって 眠気をこらえながら

まだカーテンのない窓をあけて空を眺める


飛行機雲がふたつ地平へ落ち
晴れの顔を白いなみだが歩いて
ふやけていった

ひとりだけの部屋で
わたしはかたくなに縛っていた意地を
静かに少しだけ ほどいていた









自由詩 緊張と弛緩 Copyright 唐草フウ 2018-06-10 21:03:53
notebook Home