きみのとなりにユーレイのように
田中修子

きみのかあさんになりたい
お洋服を手縫いしたり
陽に透けるきれいなゼリーをつくったり
おひざにだっこして絵本を読んだりする
いつも子育てのことで
はらはらと気をもんでいる

きみのとうさんになりたい
上手な火のおこしかたナイフの使いかたを教えよう
子育てノイローゼ寸前のかあさんを
「こら ちょっとやりすぎだ」
と抱きしめて
デートにつれだしたりする

きみのばあちゃんじいちゃんになりたい
かあさんもとうさんも苦しそうなとき
ちょっぴり預かって
あくまでこっそりと
いつもより贅沢な
歯の溶けそうなチョコレート菓子を
買ってあげたりする 内緒ですよ

きみのともだちになりたい
かあさんにもとうさんにも
なんとなく話せない
あのことを
ひそひそ話すんだ なん時間だって

きみの先生になりたい
しかめつらしながら授業するあいま
生きることにほんとにひつようなことを
ボソッともらして
校長先生にしかられる

きみの
恋人になり……はべつにいいかな
わりとテレビとか本とかに載っているし
でも、空想と現実はちがうのである
ガッカリするでないぞよ

きみがもう
だれかの
かあさんでありとうさんであり
ばあちゃんでありじいちゃんであり
ともだちであり
先生であり
恋人……はいいんだった

で、あるとして

それでもぼくは
ひつようなときに
ひつようなだけ
きみのそばにいよう


自由詩 きみのとなりにユーレイのように Copyright 田中修子 2018-06-10 12:22:18縦
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