欲望~詩作
ヒヤシンス


 美を描くノートは未だ白く、
 夜と朝の狭間でゆらゆらと揺れている。
 美の中に優しさを忍ばせて、じっと待つひと時。
 窓から望む街路灯が不規則に消えてゆく。

 淡い夢のような微睡が訪れては去り、
 煙草の吸いさしは絵画の中で異彩を放っている。
 表現するには心もとなく、一言添えれば冗長だ。
 籠の中の不器用な天使が歌うまではじっと待とうか。

 言葉が生まれる瞬間に立ち会える幸せ。
 ひらめきがときめきに変わるその時だ。
 綴る言葉がほどよく縺れ、大樹に育つ。

 夜明けと共に美が生まれ、万年筆は役目を終える。
 優しさを纏った美の上に、芳醇な匂いと揺らぎが欲しい。
 欲望は尽きぬまま、朝日と共に庭に出る。
 

  


自由詩 欲望~詩作 Copyright ヒヤシンス 2018-06-09 06:55:39
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