悔やみ言1978
板谷みきょう

語る程の夢もなく
こうして命からがら
生きて来たけど

やる事なす事
嘘だらけの自分の心を
ポケットに入れ

いつまでも
作り笑いしていて
それが
優しい気持ちだなんて

恨みを抱いて
トゲある言葉
むやみやたらに街へ出て
口笛吹けば
それが若さだなんて

こんな事なら
あの時
がらんどうの
念仏トンネルを抜けて
潮の香りが
眩しく匂う神威岬から
飛んでいたなら

今頃
幸せな海の藻屑と
なっていたでしょうに


振り返る程人生も歩まず
いつものんべんだらりと
過ごして来たけど

見て見ぬ振りして
人を奈落の底に
突き落とし

そして又
歩き始めて
それが
正直な生き方なんて

焚火を囲んで
酒を飲んで
大声出して流行り歌
肩でも組めば
それが青春なんて

こんな事なら
あの時
六階のベランダから
身を乗り出して
両手を開いて
静かに眼を閉じ
そのまま
地面に引き込まれていたなら

今頃
幸せな風に舞う砂ぼこりと
なっていたでしょうに


自由詩 悔やみ言1978 Copyright 板谷みきょう 2018-05-28 00:37:43縦
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