証明
文字綴り屋 ひじり

夕暮れ時の公園で

ブランコに乗りながら

ぼんやりと過ごしたいけれど

そんな時間はない


ぐったりと疲れた身体を

なんとか騙し騙し

やっとの思いで家へ帰る


賞味期限の切れた牛乳

ぐにゃりとしたモヤシ

干からびたネギ

詰め込まれた冷凍食品

冷えたビールと

ミネラルウォ-ター


笑える動画をネットで探し

ガハハ笑いをしてみるものの

電源切れば

もうそこはいつもと変わりない日常で

何をしたかったのか

何を欲しがっていたのか

そんなことさえ忘れてしまった


疲れてるんだと

自分を慰めてみても

乾いた苦笑いしかできず

どこか遠くへ行こうって

何度も呟くけれど

結局は暇と懐具合次第

苦し紛れに

小さな声で

助けてと言ってみた

そうしたら

涙が出てきた


その瞬間

不思議と笑いがこみあげてきた

やっとわかった

自分がどんな人間であるのか

私自身が証明するのを

ずっと忘れていたんだってことを

子供の頃は親が証明してくれた

頑張る子

聞き分けの良い子

学生の頃は友達が証明してくれた

明るい子

優しい子

大人になってからは

誰が証明してくれただろうか

恋人?

会社?

本当は自分自身が証明しなくてはいけなかった

私はこういう人間だって

失敗もするし

愚痴ることもあるけれど

人の悪口は言わないよ

落ち込み凹むことも多いけど

他人のせいにはしないよ

人に優しくするのは

自己満足かもしれないけど

それが当たり前だって


優しいってことは脆いってことじゃない

厳しいってことは冷たいってことじゃない


もう一回始めよう

もう一回始めよう


苦しくてもがいても良いなんて

キレイゴトは言えないけれど

来るべき時が来るまで

失敗しては持ち直すを繰り返し

生きてみよう

その時が来たら

失敗したとか後悔することはないだろう

出来なかったこともあるけれど

やり遂げたこともあったと

必ず思えるだろうから


もう一回始めよう

もう一回始めよう


自由詩 証明 Copyright 文字綴り屋 ひじり 2018-05-27 16:43:09
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