こおり/朝の空/鏡
田中修子
考えてみたらあたりまえだけど
詩をかくひとにも
なにかしら毒のようなものをまとう
ひとがいた
目立ちたいひと
偉くなりたいひと
人を貶めたいひと
なんだか
スンと
さみしいきぶん
澄んだ
冷たい
こおりになって
嚙み砕かれたい
/
詩人と名づけられたとたん
わたしはなにもかも
分からなくなってしまう
それらしきものに変化するのは
むかしからとても得意だった
そうでなければ生きられなかった
いい子になる
優等生になる
職場でいちばん頑張っている人になる
なりきったとたん
つかれてしまう
そしてわたしは
言葉の浜に
うちあげられた
私はただの生きている人
ひとりぼっちなひと
風が鳴る
空が青い
朝の空がにがてなのは
なにも隠せなくてこわい
/
ことばが好き
すべてを反射して
醜いわたしも
戸惑うわたしも
ごまかせない
本日
ことばは
鏡
わたしはだれ
冷ややかに
じっとみいる
わたしの顔を映す
自分を偽るなと
わたしがわたしをはたいた