幾百億、幾千億の詩(うた)の詩(うた)
秋葉竹
街は、あなたが必要です。
かたあしで立つと、揺れる街
みあげればみえる
幾千幾万の銀河系の白い糸の模様たち
星座となのる用意があるものたちです。
街の灯が深く味わいもされず
オンザロックで、ただ酔うためだけに
飲み干されたものですから。
街は、あなたが必要です。
愛を描く、古びた歌詞のなかに、
つきなみな表現を照れる詩(うた)があり、
照れながらでも小さな声ででも、
悲しみをもてあます心には届いて欲しいから、
夢の中では夜空にしみこませたいのです、
その空から降る綺麗な直線の雨を
お願い、どうかこの不幸な血の滴る心臓に
届けてください。
街は、あなたが必要です。
かこの罪の許しを乞う
いまの醜いかたちの心をくるんでもらいたい、
忘れてはいけない、とおい街からつづく
眼にはみえない無垢な祈りのリボン。
蝶々結びにされたリボンは、
ゆうらり ゆうらり
蝶々の速度で
淡い愛情の花びらの許しのなかで、
照れながらでも、揺れるのです。
街は、あなたが必要です。
かたあしで立つと、ゆれる街
平気な顔して「酔ってないからね」って、
夜は寒いの 知っているからね、って、
キラキラみえるんだね、星たちの伝説の
姿を描く白い糸
それさえ凍って震えているんだね、って、
街は、あなたが必要です。
この日を待ちつづけてきた
無数の詩(うた)たちが集う街。
私の詩(うた)もその星屑の一つとなり
夜空から凍った糸でぶら下がるのでしょう。
そのきらびやかな銀河の門には
許可証も身分証明書も要らない、
ただ、なにものにも代えられない一つの心を
持ちつづける慎ましやかな意志だけが
たったひともじのパスワード。
なのですから?
の、はずですから?
詩人とは、
それをもう一度あらためて
見つめ直す心を持つものたちのことです。
街は、あなたが必要です。