泣き出しそうな、墓標
秋葉竹
鳶がとび回る冷たい空は灰色です。
大きな声で言ってはいない。
イヤな人がいて
言葉はホログラム、清潔で、
ちいさな血のようなものが
ヤスリで間引かれる瞬間の悲鳴、
墓場までもっていくのでしょうか。
ここのささやかな別れが死を
ありえない角度で見下ろす街の灯が
ようやくともる景色の孤独さを
黄泉の底までもっていくことは
ないのでしょうか。
死んだあとも
どこかで見たことがあるような憂鬱な
それでいて私には優しげな瞳の色が
忘れられない風景を
あなたの故郷と呼ばせるのでしょうか。
ピューヒョロー、ピューヒョロー、
と、
輪を描き空から懈怠を落とすのが、
鳶の鳴き声。
なにかに逆らうこともなく、
ひっそりと生きてきたのだけれど。