除光液
そらの珊瑚
朝の光を浴びて
少しぬるみ
世の中のさかさまの文字を
投影している
硝子びんの中の液体の揺らぎに
ひと瓶飲んだら死ぬかなと
たずねても
答はみんなさかさまだから
解読できない
プリズム
ねじ蓋のすきまから 夜
揮発された微少な毒に
気づくのは
壁に貼られた青い小鳥だけ
エナメルを
(或いは嘘を)はぎとられ
色と艶を
失くしたあとの
枯れた白い爪
その下を流れる血液が
戻ってくるまで
湯気の立つカップを包んで
温めている
自由詩
除光液
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そらの珊瑚
2018-04-08 09:42:36
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