雪景色
伊藤 大樹
雨のあいまに
雪は三度、降る
微熱をはらむ毛布を払い
寝巻きのまま
もう一度目覚めたら
絶望に一歩近づくということ。
(雨にうたれる準備ならできている)
魚の欠片を口に運ぶ
傍ら、葬式ごっこに興じ
絶壁までいそいで
雪が生存をつたえている
喉の奥に
罵倒が
魚の小骨のように突き刺さって、取れない
町はずれの火葬場の
煙突は働きつづけ
低くうなり声をあげる
同じころ
まぶしいほどの
雪原が
産声をあげる
自由詩
雪景色
Copyright
伊藤 大樹
2018-04-07 09:01:26