our eyes met
アザラシ


キューを出されたかのように
組み込まれたプログラムのように

それは
どうしようもないタイミング

ほんの数秒

まるで
あらかじめ決められていたかのように

遠くの君と
視線がぶつかる

その瞬間
僕らは停止し

時間の流れからこぼれ落ちた


雑音は消え
体は硬直し

お互いの少し見開いた目に
吸い込まれそうなのか
吸い込んでしまいそうなのかもわからず

逸らすことも許されず

長い
遠慮なく触れてくる空気

僕らだけしかない
“無”


そして
急停車のように
空間が
落ちてきて
引き戻された


ようやく
外れた視線

まだ
乾いていない
けど
余韻を溶かしながら
数秒かけて瞼を閉じた

僕らは
それぞれの
空間と時間に調和して
動き出す

まるで
何事もなかったかのように


鼓動だけは
まだ弾んで



それは
たった10秒ほどの
些細で 重要な できごと



自由詩 our eyes met Copyright アザラシ 2018-03-30 15:27:31
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