our eyes met
アザラシ
キューを出されたかのように
組み込まれたプログラムのように
それは
どうしようもないタイミング
ほんの数秒
まるで
あらかじめ決められていたかのように
遠くの君と
視線がぶつかる
その瞬間
僕らは停止し
時間の流れからこぼれ落ちた
雑音は消え
体は硬直し
お互いの少し見開いた目に
吸い込まれそうなのか
吸い込んでしまいそうなのかもわからず
逸らすことも許されず
長い
遠慮なく触れてくる空気
僕らだけしかない
“無”
そして
急停車のように
空間が
落ちてきて
引き戻された
ようやく
外れた視線
まだ
乾いていない
けど
余韻を溶かしながら
数秒かけて瞼を閉じた
僕らは
それぞれの
空間と時間に調和して
動き出す
まるで
何事もなかったかのように
鼓動だけは
まだ弾んで
それは
たった10秒ほどの
些細で 重要な できごと