桜の季節
青の群れ

白い光があなたの耳を透かしている
あなたの血管が浮かび上がる
透けた肉は赤く
あなたの心臓はいま動いている

あ、また、つい、なんて凝視しては
なんでもないよと手を握る、握り返す
あたたかい春は生命を浮かび上がらせる
じぶんの心臓の音を意識する

触れる、例えば頬
皮膚をまとった脂肪と筋肉と骨
脳の司令が神経を伝う

鼻水でぐずぐずになっても
皮膚を撫でる桜の花びら
聞こえないけれどぬくもりには音がある

生活の中で透けて見えるものではない
肉体のその中身もきっと
教科書通りの動きをしているのだろうね

眩しいからまばたきをする
鼻を啜って笑い合っている
吸い込んだ酸素が肺を満たして
軽くなった脚を空中に導く
奪う、宿す、繰り返す
出会いがあって別れがあるとか

春の日差しに肉体が熱を持つ
冷えていた指先の温度が人間のようになる
生まれる以外に生きている証明
熱く赤い血肉と


自由詩 桜の季節 Copyright 青の群れ 2018-03-27 23:14:21
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