廃線の旅
忍野水香

旅に出よう
今は汽車が走らない線路を
何処までも 何処までも
歩いて行こう

リュック一つを背負い
身軽なままで
あれこれ考える必要はない
ただ まっすぐ歩けばいい

春は足元の草花を愛でながら
夏は空の碧さを確かめながら
秋は落ち葉の温もりを感じながら
冬は聖なる銀世界に抱かれて

今は もう 汽車は走らない
雑草に埋もれた この線路

のんびり歩きながら
過ぎ去りし日や未だ見ぬ明日へ
思いを馳せれば遠くから
懐かしい汽笛が聞こえてくるようだ

車窓を流れる景色のように
月日は知らぬ間に過ぎ去るけれど
この線路はきっと
過去から未来へとつながっている


自由詩 廃線の旅 Copyright 忍野水香 2018-03-21 20:48:06
notebook Home 戻る