廃線の旅
忍野水香
旅に出よう
今は汽車が走らない線路を
何処までも 何処までも
歩いて行こう
リュック一つを背負い
身軽なままで
あれこれ考える必要はない
ただ まっすぐ歩けばいい
春は足元の草花を愛でながら
夏は空の碧さを確かめながら
秋は落ち葉の温もりを感じながら
冬は聖なる銀世界に抱かれて
今は もう 汽車は走らない
雑草に埋もれた この線路
のんびり歩きながら
過ぎ去りし日や未だ見ぬ明日へ
思いを馳せれば遠くから
懐かしい汽笛が聞こえてくるようだ
車窓を流れる景色のように
月日は知らぬ間に過ぎ去るけれど
この線路はきっと
過去から未来へとつながっている