誰一人としてその名で私を呼ぶことが永久にないとしても
Lucy
また、書けない日々が続いている。書けないのではなく、書かないのだと、つぶやいてみる。つうか、詩なんて書いたことがないのかも、詩のようなものを書いては、詩かもしれないと、思い込んでいたかっただけかも。誰かに詩だよと言ってもらって安心したかっただけだったのかも‥。そんな想念が胸をふさいで、やり切れない。いや別に詩なんて書いていなくたって、なんとなく楽しくやっていける程度の日々が続く。そのことに実は感謝している。それじゃダメなの?と言っている自分が自分なのか、そういわれている自分が自分なのか、どっちなのかもわからないけど。贅沢を言っちゃいけない。なんにも始まらないうちに終わるのが人生なんだとしても、私はしあわせ、こんな程度でよかったとつくづく思っているよ。これ以上ひどい状態にならないことだけを願っているよ。自分の持ち場で、与えられた役割を精一杯にこなすことに全力を注ぎ、ほかの誰にでもできる仕事を、最大限誠実に、マニュアル通りに何とかこなして、たまにはうっかりして失敗して落ち込んだりして、へとへとになって一日を終える。そうして生きていくためのいくらかのお金を手に入れる。それだけじゃダメなの?
くたびれた帰り道ほど夕焼けが目に染みるんだ。なんだか泣きたい気持ちで胸がいっぱいになるそんな時、生きててよかったって思えるようなそんな時、もう詩なんて書かなくても私は生きていられるのかなって思うとき。たとえば、恋なんかしてなくたって、何の変哲もない風景が、雨上がりのようにキラキラ透明に光ってたりすることがあるんだよ。別に私が詩人でもなんでもなくたって・・。