徒然に~白樺の林の中で
ヒヤシンス
聞き覚えのある旋律に耳を澄ますと白樺の林が見える。
よく冷えたアールグレイを静かに飲み干す今日の朝だ。
旅から帰った私の半身が私を書斎へと誘う。
白紙のページに厳かに書き下す旅日記。
人のいない冬季の別荘地。
冷気が頬を伝うと思い出すあの夏の日。
季節が人の感情を支えると感性が鋭くなるようだ。
私は私の心をじっと見つめる。
白樺の凛とした佇まいに清らかになる心。
細い幹から天に広がる細かな枝は感情の襞のようだ。
穏やかな朝にたおやかな天女が舞い降りる。
白樺の林が好きだ。
空想の翼を広げて新しい今日を創造する。
美しい夏を待ち侘びながら、私はストーブに薪をくべる。