ちらりちらり
うめバア
むかし
死んだ人たちのことを思う
うっすらとした
哀しみのにおい
病院の夕暮れ
ピンクのカーテンが
淡くて、淡くて
おかえり
行ってらっしゃい
気をつけるんだよ
絵の具持った?
長靴を履いて
わざと水たまりに入り込んでは
叱られた
なぜ叱るのか
今わかる
怖いのだ
水たまりはどこか異世界の入口で
長靴やズボンの裾がぬれることでなく
手をつないだこの小さなぬくもりが
吸い込まれてしまうのではないかと
だから、だめだよと
母は叱ったのだ
むかしの時間と
今を抱えて
また歩く
私は中間にいる