ちらりちらり
うめバア

むかし
死んだ人たちのことを思う

うっすらとした
哀しみのにおい

病院の夕暮れ
ピンクのカーテンが
淡くて、淡くて

おかえり
行ってらっしゃい
気をつけるんだよ
絵の具持った?

長靴を履いて
わざと水たまりに入り込んでは
叱られた

なぜ叱るのか
今わかる

怖いのだ
水たまりはどこか異世界の入口で
長靴やズボンの裾がぬれることでなく
手をつないだこの小さなぬくもりが
吸い込まれてしまうのではないかと

だから、だめだよと
母は叱ったのだ

むかしの時間と
今を抱えて
また歩く

私は中間にいる




自由詩 ちらりちらり Copyright うめバア 2018-03-09 09:18:15
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