赤いトナカイの影
黒川排除 (oldsoup)
ひかれた、自動車のタイヤの向こうに転がっていくのを鈍く追いかける老獪マダムは白い球体を打ち合わせよ、まだもって打ち合わせたるものを持ち合わせていないならば窃盗せよ。不完全な窃盗は不完全な鈍器を作り出したか、だがなお、カーブミラーに反射した太陽を直視すると失明する失踪者の失言を手がかりに始められた捜索は五本目のカーブミラーが傷もついていないまったく完全な状況で発見されることによって断念された日を記念して植えられた樹木の名前に彼女の名前を刻むかどうか検討する失踪者の名前に彼女の名前が呼ばれた日を記念する。
従えたる加速度の増分は速やかなる計算が期待される。加速度とは即ち文明の加速度である、文明とともに進化したる文明の利器によって利器そのものの文明を加速させたる原因を加速度的に計算したまえ。ひとは数値のごとくカンマをはさんで同居することが出来ない。おまえではなく誰かであることの喜びがあるか、然る結論の後にカーテンを引け。わたしは純然たる立場を支配するものとしては完全に規定のあるものに立ち向かう時、わたしたち及び他のわたしたちが一切のまやかしから隔絶された一本の線であるとは到底考えられないのです。と考えます。わたしは肉体の及ぶ限りの実在のものとしては湖の一滴にすら立ち向かうことの出来ない弱い人間であるか、もしくはそうではないでしょう。湖からは泥をすくうことが出来ます。しかしながら湖は濁っていないのです。もし濁った湖を考えているならば湖に生き物を住まわせることが出来るとお考えですか。ならば、もし、湖を渡るものがあれば重機の燃料を満たすものはひとのこころである。答えが導き出される時、重機は名前以上に重量を背負うことになるだろうがとにかく前進はするのであるがそれはまさしく暴力になりうるだろう。
前進するものを常に追うもの、それは影である。
いずれは、劇場の手摺はダイヤモンドらしからぬガラスで埋め尽くされる時が来たるに及ばざるが如きいくつも作られた試作品は等間隔に壁にかけられるとともに間隔に求められたるものは人間的な空白及び人間らしからぬ静寂を集めた宝石でなくてはならぬが透明であることが薄弱の証明であるかのように風景が区切られる窓枠にはめられた窓は色ガラスである水晶体で溢れかえるのを抑える柵も檻も釘を打つまでは悄然と刺さっているだけの棒ではなく突端に力学的には解釈できぬ現象の痕跡が生者の滅びを前兆の下に暴露するならば予言書が発行部数によって真の価値を発揮するような商業的発展を極めた都市は乗せたと思ったらすぐまた戻ってくるような小さな円のベルトコンベアーの根源的価値であるところのバッテリーが劣化した時に発する音が風景と言って一般人が想像するところの草原と小川の交わったところに身を削る岩石の中から聞こえてくるとするならば住民特に原住民は住所なるものの自覚もなしに生存したることを恥じて水浸しの衣装を一本の紐に吊って乾かすと大陸と大陸が結ばれる橋が蒸発するまでは猿の所有物になるので遥か遠くで生産を続ける工場の煙突が発生せしめる黒煙の濁りが雲のごとく立ちこめると隠れた上空から無数の斧が回転しながら地上に落下する時大地と猿と原住民は回転する画像の配信が殺戮を隠蔽する緞帳のごとく無限に行われる時には四つの柱で支えられた神殿の平面たる床をスクリーンとして配信されたる画像の上を歩くとわたしの身体に画像が這い回るのである。わたしは画像が這い回るのを認識すると萎縮しないのである。なぜなら、映写機とわたしとそして画像との間には冷たい空気と冷たい影と冷たい電気装飾がいたたまれなく飾られているのであっても画像の中に切り抜かれた自身の影が住まっている時認識されたる同一性が満足を与えるのであっても影の縁取りには乖離したやはり冷たい空気が忍んでいるので雪が深いチェルノブイリに充満する吹雪が隠す姿はトナカイでも狐でもウサギでも生存していない人間でも生存していないものが影となって移ろうことが現実には起こりうる確率が小さいのは生まれたての生き物がみんな小さいのと同じことだとすることと雪の寒さにあり続けることが絶望的に近いのだとしても比較する規矩の著しい破損がもたらされた争いの跡が視覚的に広がる一次元的な球体のゆがみであり立方体の物理的な侵略は物語られぬ面の広がりにおいて前世紀の油絵が乾燥しないのとまた時期を同じくしたパレットの変色は招かれざる放置ではなく開け放された扉ではなく街道の石畳のひどく浮き上がるか浮き上がりもしないカバの溺死体が流れ着く先の流木は腐っても楽園の道標を指し示すモチーフの潜在的な反応を死後も続けるところに水及び付着した水の乱反射的な自滅が意志的には汲み取られた二十世紀のモノクロ映画の中で激しく燃える水の一部分は流し込まれると魚類を育むのであるか肉体は交換を求めるものであるか逆流してもエラ呼吸では呼吸出来ぬ呼吸が人外の外人には呼吸出来る速やかなある一定のリズムの呼吸により他人の呼吸を貪ることを呼吸と定義するなら彼女の名前は失墜しても名前は彼女のものであり続ける。続行そのものは怯えに過ぎぬ、肉体が滅ぶ時にちょうどと言うことが出来るか、ちょうど肉体が滅ぶとしたならば次に何が起こるか、それは生きる上では微細な疑問である。しかるに、著しい交換の断面が結露する時には幾度となく登場する水というイメージが想像の産物となり架空の太陽ないしは架空の月の生まれたるその直下で回し続ける光が朝夕の区別を融解して目的外の目的を達成せんと息を巻くのはコロナより黒点に表情を求める観察者の長い望遠鏡に比することの出来ぬほど長ったらしい交渉における交換つまり壁と床の間にある隙間での紙幣の取引の一部始終で限られた範囲では監視カメラで覗いている管理者のパスワードが英字で埋め尽くされることよりは幾分問題は少ない書類の積まれたデスクの足が向いている先にそびえる空と雲の塔からまっすぐに引かれた黒いロープから赤い結び玉を貫いて水の色ではなく水色の水の水面に交わる点があたかも生きているかのように揺れるのはおもりの先についているものが何であるかを科学者ではなく家族が説明することにより始めて明確になる場合における回転率はパーセンテージや他のどんな記号をも受け付けぬ発音体に成り上がるか成り下がるかを判断すべくは彼らと指名されるいくつかの物体のうちひとつは肉体ひとつは電飾ひとつはうつすものと左右対称になりうる実在は指紋のついたフィルムの内側に残る突起のリズムがおおよそ等速であるかどうかを確認するため走らせると速やかに消え失せ戻ってこない危険性を孕んだ妊婦の内側をひそやかに通り抜ける時多大なショックを受けて死滅するところの遺伝子に判別を付かされたものさえ名前を持たされ呼ばれるとき微動ぐらいはするので動かぬ石動かぬ眠りはたちまち震え上がり近くの住処から少しだけ遠くに離れたところに寄り集まって火と煙と砂と炭を吸引器具でもってスニッフィングした彼らは確かにロウであれば世界は炎のように燃えて揺らめく炎になってしまった。