永遠の人
ヒヤシンス
ためらいがちな貴方の横顔は絵画の中に生きている。
私は貴方の頬に色を乗せ、静かに閉じられた唇に紅を差す。
首元に光るネックレスは共に旅したあの土地の思い出。
貴方はこの絵を見て笑ってくれるだろうか。
貴方の優しい微笑はあの土地を思い起こさせる。
緑の匂いにむせ返る初夏の日。
私ら二人だけの世界。
瞳は輝き、そばにいる温もりにお互いの無言も美しい。
旧道沿いのベーカリーで大好きなパンを買い、
二人で頬張った後のおちょぼ口。
休日返上で開いている喫茶店で仄かに香るアールグレイ。
鳥達が夏の協奏曲を奏でる日々。
過ぎてゆく時の流れをこの絵画に刻み込む。
そして貴方は私の永遠になったのだ。