束の間、彼の地で
坂本瞳子
乾いた空気の冷たさ
石畳の歩き難さ
とおに忘れていた
二月は一番寒い時期だと
底冷えのする
身を屈めてしまうほど
風に吹き付けられ
行き交う人は
愛想がないのに
すれ違う人の
礼儀正しさに
人の温かみを思い知る
ショコラが
身体を内側から温める
パリの喫茶店にて
想いに耽り夢見心地
それでも時は止まらない
自由詩
束の間、彼の地で
Copyright
坂本瞳子
2018-02-26 03:47:23