目元のマスク
しょだまさし

「この一年間
このクラスの担任
でいられて幸せだった
ありがとな…皆
高校でも頑張れよ
じゃそろそろ式に出る準備しろ
にしても佐田(まさし)…
お前って奴は
いつもいつもふざけて
ばかりいるから
バチが当たるんだぞ
卒業の日に風邪で
マスク姿なんて…」


名指しされて口許から
目の位置にマスクを上げ
普段のひょうきんを
装った彼の笑う
その口元の左右に
フライングの涙が
流れているのを
クラスの皆は
見て見ぬふりをして
今日を限りに
座ることのなくなる
椅子から立ち上がった


自由詩 目元のマスク Copyright しょだまさし 2018-02-24 13:54:59
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