さびしさを
こたきひろし

さびしさを一個に丸め
見えない屑入れめがけて放り投げた
その度に外れる

さびしさは埃のように立ち上ってくるから
毛玉のようにまとわりついてくるから
いっぱいになって辛くなったら
コロコロで集めよう

私の心臓はか弱い肉の塊
その仕組みに井戸を連想してしまうのは
なぜだろう

始まりからお仕舞いまで
絶え間なく汲み上げなくてはならない
その手には時間が絡み付いて
ほどけない

過去に時計を戻せば
そこにも深い井戸があって底を覗きこむ
私がいた

私の根源は井戸から沸き上がるさびしさだから
払い除けられない
井戸の側には柿の木があって
季節には身が熟して落ちた
その甘く爛れた匂いが
私の心象風景には

似合っている
のかも知れない


自由詩 さびしさを Copyright こたきひろし 2018-02-18 06:49:46
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