皆既月食の夜
坂本瞳子
赤黒く
異様な影を放ち
その物体は
冷たい闇に浮かぶ
それを映すこの目は
血を流すのではないかと
どんな幻想を見ることも
できるのではないかと
思えるほどの不気味さに
心を奪われて寒空の下
固唾を呑んで佇む
そして感じる
大地の動きを
微々たることのない
地底の奥底深くの
エネルギーさえも
力を吸収するがごとく
呼吸を合わせよう
核から放たれる
鼓動とともに
自由詩
皆既月食の夜
Copyright
坂本瞳子
2018-01-31 23:04:24