アレキサンドライト
1486 106

いつも公園の隅っこで一人で遊んでいる子ども
周囲に上手く馴染めないのか表情はどこか寂しげ
通り過ぎる大人達は誰も気に掛けることもなく
ベンチに腰掛けた僕もまた気付かないフリをしていた

このままだったらあの子はどんな大人になるだろう

風船が木の枝に引っ掛かって大泣きしている子ども
勇気を出して声を掛けて風船を渡してあげたんだ
怯えた表情で目を合わせることもなく受け取って
一目散に逃げるように走り去っていってしまった

このままだったらあの子はどんな大人になるだろう

可能性なんてものはいつだって機会に左右されていて
光を失って原石のまま終わってしまうこともあるだろう
ちっぽけな意思で願うのを止めれば音もなく萎んでいき
形を失って未来を失って途方に暮れてしまうだろう


いつもの公園の入り口で待ち構えていた子ども
俯いたままで小さな声であの日のお礼を言った後
差し出してくれたのは不思議な形をした小さな石
宝物なんだと嬉しそうに笑った顔を初めて見せた

このままだったらこの子はどんな大人になるだろう

いつの間にか親しくなって駆け寄ってくる子ども
饒舌になってここでは言えない秘密の話もしてくれた
遠巻きに見て勝手に決め付けていた自分の浅はかさを
反省しつつ日が沈むまで二人仲良く向き合っていた

このままだったらこの子はどんな大人になるだろう

可能性なんてものはいつだって機会に左右されていて
光を受けて思いがけない色に輝くことだってあるだろう
ちっぽけな意思でも強く願えばやがては大きく膨らんで
形を変えて未来を変えて君自身さえ変えてしまうだろう

可能性なんてものはいつだって機会に左右されていて
磨き上げてあげなければ発揮できないものもあるだろう
今は小さな君もこれから色々なものと触れ合うことで
形を変えて未来を変えてどんな大人にもなれるだろう


自由詩 アレキサンドライト Copyright 1486 106 2018-01-15 07:59:48
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