映える緑の
ヒヤシンス
映える緑の並木道をゆくと教会がある。
尖塔が銀色に輝き、裏手を流れる川のせせらぎが聞こえる。
数知れぬ魂の鼓動は木の十字架の前で私を探している。
まるで異国の者を探るような眼差しで。
それは一枚の絵画を眺めるのに似ている。
人里離れた村からやって来た私は仮面を取らねばならない。
そして静かに佇むのだ。
清涼な空気を胸いっぱいに吸い込んでから私は重い扉を開いた。
私は今一度心を開こうとした。
現代を生きるあるがままのものに。
未来を生きようとする全てのものに。
教会を出ると午後の日差しが目に染みた。
魂の鼓動は私に寄り添い、去って行った。
満ち足りた感情を抱く為に私は今日も生きている。