夏の話
水宮うみ
君と話すのはいつだって楽しい。
図書室のなかで、校庭のすみで、僕らはたくさん話をした。
君は僕の疑問へ無理に答えを与えたりはしない。
君は、分からないということを風に揺れる風鈴のように愛している。
そんな君と話しているうちに、僕もだんだん悩みがどうでもよくなってきた。
君がいれば答えはいらない。
それが僕の答えになった。
長い長い梅雨が終わる。
「もうすぐ夏だね」
君は光のなかでそう言って、くしゃっと笑う。
自由詩
夏の話
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水宮うみ
2018-01-09 17:53:25