じゃあね!
梅昆布茶

時計のないまちを歩くと
歩数計が時間にすりかわる

きみの面影ばかりがやきついた瞳は
きょうも空疎で狭窄しているみたいだし

きのう人参畑だった農地には
いつのまにかウイークリーマンション

きっと僕が歯の抜けた老人になってしまう前に
街は再開発されてしまうのだろうけれど

風のないまちを歩くと
ときにおもいがけない過去にであう

きにかけながらも歩きはじめるとき
やっといまの
時間と馴染めたりもする

小さな計画を積み重ねながら生きてきた
これからもそうだが
だからときどき天文台に足をはこんで
星々の過去と自分の未来をのぞいてみたりもするんだ

ひとは花のように咲き花のように去る
いつも僕だけがじんわりと残っていて
何処にも行けないサボテンみたいに
突っ立ってたりするわけだが

高校の文化祭のバンドのメンバーに入れなかったぼくは
それからもバンドのメンバーにはなれなかったかもしれないが

ぼくの音楽と詩とイラスト入りの人生が
けっこう好きだったりするわけで

言い訳だらけの僕はとりあえずきみと暮らしている
文句を言いながらも

それでも新年おめでとう

もう喧嘩はしないでおこうね
じゃあね!



自由詩 じゃあね! Copyright 梅昆布茶 2018-01-04 07:53:56
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