雪平線
むぎのようこ



海月の
ほねを喰み
みずになる
こえを束ねて
輪郭を増す
つきの舟
波のくだける音が
燃えうつり
粟立つ
膚はひえる

仰向けに
こおりつく花の
かおりを
弔ってみても、漂白
される
ばかりの空を
およいでは、ながれ
うろこを降らす
きらきら
きらきら、と
埋もれる
沙はかがみのように
きらめき
罅割れては
ひびきわたる

せわしなく
咲いては散る春の
またたきを
匿っては
つまさきばかり
あやしては編まれた
あきくさの、穂の、
しろさばかり
のみほす
雪の野原には
しろい
花が舞うように
かさなり、ねがう
ことも
かなうことも
均されて
さかいめの、ない
地平








自由詩 雪平線 Copyright むぎのようこ 2018-01-03 23:43:22
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