おみくじを引いて、彼女を見られなかった
秋葉竹

おみくじを引いて
中の吉凶を見ずに
コートのポケットへ入れる
クシャクシャにした
紙屑に
運命を左右されてたまるものか

「どうだった?」

「さあ………?」


代わりにみてあげるねって
ポケットから紙屑を取り出し
綺麗に皺を伸ばす
「やった、だいきちだね。」
そう言うと、そのまま境内の木に結び
振り返ってにっこり笑ってくれた

「大吉は、家に……」

僕の質問を察して
その後を言わせないためにか

「コーヒーなにがいい?」
てきくから
「微糖か、ブラック」
て答えると
「そこは甘さこってりのやつでいいよ」

「………?」

「甘さに甘えて、いいんだよ?」
なにかを上手く言ったつもりの
見つめ続ける目ヂカラから目を逸らし、

うつむく僕が
笑えていたのは、たしかに君のおかげだね、
「ありがとう。
今年も、よろしく、お願いします」

「ええ、こちらもね?」
そういってまた、にっこり笑ってくれた
この人の
一ヶ月後の結婚式に
僕は、どんな顔してその場にいればいいんだろう?
チクショウ、と、思っていても
いいのだろうか?


自由詩 おみくじを引いて、彼女を見られなかった Copyright 秋葉竹 2018-01-03 18:03:40
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