棘(とげ)
043BLUE

それは
あなたの優しさ
ですか

あなたを
忘れないための
痛み

静寂の月夜

わたしは
雪虫となり

羊歯シダの葉に滴る
朝露に溺死する

時間という
液体の流れにて

融けてゆく


永遠に
遂げられぬ
優しさの
痕跡

わたしは
薬指で
その記憶の
膨らみを

そっと
なぞりながら

いとおしく
憎んでいるのです


自由詩 棘(とげ) Copyright 043BLUE 2005-03-16 15:18:44
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