そんなこと
坂本瞳子
良く晴れた朝は
心が軋む
今日という一日を
どう過ごすのか
期待と不安が入り乱れ
一歩を踏み出す勇気が
そう簡単には出てこない
いっそのこと
部屋の中に
引き篭もっていようかとさえ思う
それでも外に出るのは
ただ無駄に時間を過ごしたい
そんな理由かもしれない
ただ歩くという行為で
なにかを満たそうとしている
そんなことかもしれない
未知との遭遇
懐かしい笑顔
思いがけない優しさ
不幸の欠片
奇跡の誕生
そんなものを求めているのではなく
ただ過ぎゆく時間を
ただ感じてみたいのかもしれない
聞こえたのは
心の歪みではなくて
扉が開くところだったのかと
そんな風にさえ思う