奈落の底へと
坂本瞳子
覚えた孤独は
ひとつではなく
あのときも
雨に撃たれて
差し伸べられた
手を振り払い
噛み切った口の端から
錆びた鉄の味が広がり
震えだした肩が
暴れ出しそうになるのを
必死に堪えて
飛び立った橋の上
受け止められた水面
隠した涙
掻き消された叫び
飲み込まれるという
幸せに抱かれて
どこまでも沈んで行こう
自由詩
奈落の底へと
Copyright
坂本瞳子
2017-12-22 18:16:56