滑稽な話だ
坂本瞳子
放り出された左手は
ゴロンと転がったまま
流血することもなく
その細長く美しい五本の指が
微動だにすることもなく
ただそこにそうしているだけで
いついつまでも眺めていたい
芸術作品のように思われ
そんな欲望が沸き起こるとともに
持ち主はこれを探しているのではないかと
想像するにつけて
笑いが込み上げてきた
自由詩
滑稽な話だ
Copyright
坂本瞳子
2017-12-20 23:18:13