君と僕を巡る、
狩心

死んだ君の姿を絶対に見たくないし
死んだ僕の姿を絶対に見せたくない

神に定められた運命ではなく
二人の意思で
同時に
自殺したいと
思っている
それは
まだ先の未来だけど
必ず訪れる

とにかく
二人でいっぱい
思い出を作りたい
たいじゃなくて、絶対にそうする
体は二つに分かれているけど、
心は一つに繋がって
一点の曇りもない、
これ以上なく透き通って
信じ合えるように、
二人で、
目指して行くんだよね

愛している

君が僕のことを、
大好きだよといつも言うから
僕は、
分かってるよと、
いつも答える
本当は
大好きだよと、
反復して欲しいんだと、
分かっていたけれど
「大好き」だとか、
「愛している」よりももっと強い、
感情と
信念が
あった

つい最近、
君の病気が再発してしまって、
君がまた僕に、
大好きだよと
言ってくれた時
僕は君に、
君は僕の命ですと
言って
見つめ合いながら
手を絡めて
二人で、
泣き崩れたね

退院したら、
行く先々で、
二人の写真を撮って
思い出のアルバム、
宇宙一の宝物を作りたいと、
君は言う、
うん、
絶対やろうねと、
僕も言う、
そのアイディアはかなり前、
君が正常だった頃に、
僕が提案したアイディアだった
君は記憶しておくのが困難なのに、
大切なことは覚えてくれていて
君は毎日毎日恐ろしいテレパシーに、
一日何千回と苦しめられていて、
それを信じて何度も何度も狂ってしまうけど、
そんな時も僕の事は信じてくれていて

本当に信じてる?
本当に信じられるかな? 僕ら、
自分という永遠の孤独の殻を破って、
信じ合えるだろうか

宇宙の法則がどうであれ、
社会がどうであれ、
運命や真実がどうであれ、
僕らの想いはそれらを超越するから

またねと言って、
見つめ合う
透明な手が絡み合って、
別れを惜しむ、

、ドアが閉まる

頭の中をたくさんの事が駆け巡るけど、
言葉にならない
眼差しはぼーっと宙を見据えている

暗闇から迎えに現れるバス
これから家に戻るけど
僕はこの町にも、人々にも、
溶け込めそうにない

君のいない家にいる時、
僕は蝉の抜け殻
家事も仕事も夢もお金も芸術的センスも感情も感動も全部
部屋の外のベランダに積み上げて
何一つ
整理できない

目を閉じると

二人は老人になっていて
僕は君をおんぶして
丘の上で日の出を迎え入れる
君は僕をぎゅっと抱きしめて
今の匂いをかぐ
それを
背中と首筋で感じ取って
僕は

君と共に

光に


 ち









自由詩 君と僕を巡る、 Copyright 狩心 2017-12-15 00:07:58
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